「先に手を打っておけばよかったのに(涙)」と、人材を採用してからトラブルになるケース、実は少なくありません。
ようやく売上も上がるようになり、「いざ、スタッフ募集!」と人材採用に乗り出したのはよいものの、広告代理店に丸投げしてしまうケースや、事前に労働条件の書き方も調べずに生半可な知識で募集広告を出してしまうと、採用してから条件が違うなどのトラブルに発展してしまいます。
けっして拡大路線になり始めたお店や企業だけでなく、すでに人を採用して長年の経営をしている場合であっても、古き時代の就業規則のまま見直されていないケースや、幹部社員のモラル指導が行き届いていない場合には、大きなトラブルに発展する可能性があります。知らずにやっていることが大きな火種になる時代へとなってきたのです。
現在では労働者側もさまざまな情報を知ることができ、働く条件の良し悪しに敏感になっています。このような環境へと変化したご時世で、経営側としてお店や企業を守っていくためには、人の採用の入口となる求人から就業規則へと、一貫した会社の姿勢を整えておく必要があります。
もちろん、経営側と従業員側とでは目線の違いがあるため、経営側から見ただけの求人広告や就業規則では労働条件が厳しくなる傾向が強く、本来得たい結果となる企業の繁栄にブレーキがかかってしまいます。
お店や企業を発展させていくために人の力を活用するわけですから、従業員が気持ち良く働ける労働条件も必要となります。
しかし、経営側にとっては「従業員に気持ち良く働いてもらえるための条件」といっても、どのような仕組みがあるのかを知るスベもなく、選択肢が無い状態です。無闇やたらに給与や手当を追加支給しても利益が出ない体質になってしまっては本末転倒ですし、将来のことも想定しておく必要があります。
従業員にヤル気を持って気持ち良く働くことができる条件は、多くのお店や企業をサポートしてきた当社会保険労務士事務所ならさまざまな仕組みをお伝えすることができます。
そして、将来のことを想定した人事の仕組みを作ることも重要と考えています。
将来のことには3つの重要なことがあります。①給与体系、②休養のバランス、③退職金、それぞれについて解説します。
①給与体系
事業が大きくなる会社には、優れた給与体系が導入されています。従業員が成長できる給与体系であれば、自動的に企業の成長につながります。この給与体系にもいくつもの手の加え方がありますので、経営側の意向を汲み取りつつ、従業員のヤル気につながる仕組みを選択されることをお勧めします。
給与が増えていくことは従業員本人だけでなく、その家族の応援も得られる効果もあります。それだけにお給料を増やすことと企業利益の相関関係を保てる仕組みが重要となります。
従業員側には、「給料は上がっていくもの」という固定観念が少なからずあるため、経営側は上がっていくことを前提にしておくと将来のお金のやりくりが見え、今はどうあるべきかを考えることができます。
②休養のバランス
労働時間、残業時間、そして休暇および有給休暇と、労働者は労働基準法によって守られているのはご存知のとおりです。経営側としては最低限の条件を満たすように作っておきたいところなのですが、このいわゆる休養の調整も従業員のヤル気につながる仕組みの一つとなります。給料の額面金額と合わせてバランスを取られるようにされますと、経営側と従業員側の良好な関係を保つ仕組みとなります。
上手に従業員のリフレッシュにつながり、仕事のモチベーションアップとなる仕組みを実施している企業の事例なども紹介できます。
③退職金
経営側としては触れたくない話題の一つではありますが、退職金は2つの理由により見定めておく必要があります。ひとつはキャッシュフローです。毎月、退職金の積立を別の銀行口座や保険商品を利用して行っておくのが得策でしょう。退職がいっときに重なることもあることを前提に、いずれは支払わなければならない未払い費用の一つとして、月次で管理しておくのが最善です。
もう一つは、従業員のヤル気です。退職金があることは従業員やその家族にとっても支えの一つとなります。従業員が将来に向けての人生設計を立てられる職場を目指されると良い結果を導きやすくなります。
下記にいくつかの事例を掲載していますが、整備された就業規則と一貫性を保った求人広告の内容であれば、このようなトラブルはそもそも発生しません。しかし、トラブルが発生するのが当たり前だと慣れてしまっている事業主の方もいらっしゃいます。人事の仕組みを整えないまま放置するのは大きな損失へとつながります。
事例1:実際に働き始めたら、求人広告に掲載されていた内容と条件が違った
たくさんの応募者を期待し、求職者の興味を惹くために労働条件を過剰に良い表現にしてしまうと、実際に働きだしてから不満となってきます。この不満が出てきたときには、それに便乗する他の従業員も生まれてきますし、その不満者への対応を会社がどのようにするのかを社員全員が見守っています。会社の対応が他の従業員の反感を買う対応になってしまった場合には、一気に士気を下げてしまいコントロール不能な状況に陥ります。
事務的な対応ではなく、当事者ではない他の従業員にも共感を得られる対応をとることがとても大事です。
事例2:採用した従業員がある日突然に出社しなくなり、連絡がつかない
やがて家族や知人を介して連絡を取れるようになるものですが、このタイミングで大事なことは退職届です。元従業員は、失業手当を早く・長くもらえるメリットを受けるため、また、次の就職のことを考え「会社都合での退職」にできればと考えている人もいます。
しかし、お店や企業側にとって会社都合退職となった場合には、一定期間は助成金申請が受理されないなどのデメリットがあります。
ですから、自己都合での退職となったことを証明するものとして退職届を回収しておくことが重要になります。
事例3:勤務を開始したが、務態度が悪く解雇したい
こちらもデリケートな話題です。従業員本人はそれなりにやっているつもりでも会社側からは目に余る要領の悪さがあり、改善の見込みがなく解雇にしたい場合です。上司の立場となる人ですから、その段階に至るまでには複数回の我慢を重ねたものと想像できますが、そのように回数が重なると感情的にもなりやすいです。そこで、「明日から来なくていい!」などと解雇通告をしてしまうと余計な争いの火種となってしまうこともしばしばです。
就業規則に定義されている解雇条件を見直し、会社には他の社員が共感できる対応が必要となってきます。
いくつかの例を挙げましたが、このようなトラブルは携わる人たちを疲弊させ、会社にとって何の利益にもなりません。目に見えてお金が出ていかなかったとしても、時間と労力の大きな損失となります。これらを未然に防ぐことで穏やかな社内環境が保たれ、お店や会社が目指すビジョンに向けて経営側と従業員が一致団結できる組織になってきます。
当社会保険労務士事務所では、お店や企業の人事を様々な視点でサポートしてきた経験を活かし、課題解決に向けてお手伝いしております。お気軽にご相談ください。
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