リファラル採用を取り入れてみたいが、うまくいく方法がわからない。何から手を付ければいいのかわからない。そんな企業様も多いのではないでしょうか。
労働人口の減少により、これまで通りの採用方法では思うように採用ができず、人材確保はどんどん難しくなっています。採用にかかるコストや、人材のミスマッチを解消できそうなリファラル採用はどうすればうまくいくのでしょうか。
目次
1.リファラル採用とは
リファラル(referral)とは「紹介」という意味です。リファラル採用とは、社員の紹介による採用のことです。
紹介というと「縁故採用」、いわゆる「コネ採用」という言葉がありますが、リファラル採用はコネ採用とは異なるものです。
コネ採用は、役員など社内の幹部や、有力な取引先など権力者からの紹介で、血縁者や関係者を採用するものです。採用基準が一般の採用とは異なり、能力が問われることは少なく、他の社員から不満が出ることも多々あります。
「縁故採用」や「コネ採用」は、ネガティブなイメージを持たれていることでしょう。
対してリファラル採用は、権力者からではなく、一般社員からの紹介がメインです。また、採用基準は、一般の採用時と同じであり、能力が不足していると判断されれば、当然採用されることはありません。
アメリカでは、採用数第一位の採用方法になっているほど、浸透しています。日本でもIT企業を中心にリファラル採用を導入し、成功している企業が増えています。
2.リファラル採用のメリット
リファラル採用はなぜ注目されているのでしょうか。いくつかのメリットをご紹介します。
(1)コスト低減
第一のメリットがコストの低減です。求人広告を出す場合や、紹介会社に依頼する場合には多額のコストがかかります。
リファラル採用の場合、人材との接触を社外に依頼しなくてすむ分、コストが抑えられます。
(2)ミスマッチの減少
紹介される人材の人となりが分っていること、業務や社内の雰囲気について紹介者が理解していることなどから、紹介される人材は、企業が希望する人材である確率が高まり、ミスマッチを減らすことができます。
そのため、離職率も下がることになり、好循環が生まれます。
(3)幅広い層へのアプローチ
求人広告や紹介会社の場合、今転職したい人にしか情報が伝わりませんが、リファラル採用の場合、転職を考えていない層へも情報が伝わる可能性があります。
3.リファラル採用のデメリット
リファラル採用には、メリットが多くありますが、デメリットもあります。
(1)人間関係の悪化
転職というのは、人生の大きな決断です。紹介するということは、他人の人生の決断を促すということになり、紹介者にとって大きな負担になります。
特に、紹介したものの不採用になってしまった場合は、人間関係の悪化が懸念されます。採用に至ったとしても、いざ同僚として働きだすと、これまでの関係が崩れる場合もあります。
(2)採用までのスピード
メリットで、幅広い層にアプローチできるとお伝えしましたが、現在転職を考えていない人材の場合、すぐに採用とならない場合もあります。
時には紹介から1年、または、それ以上かかる場合もありますから、絶対に即採用したい場合は注意が必要です。
(3)人材の偏り
社員の紹介では、社員の付き合いやすい相手であることが予想され、似通った人材である可能性が高いです。
会社に馴染みやすい人材ではありますが、人材がかたよるともいえます。
「類は友を呼ぶ」ということです。
(4)リクルーターの教育
社員が紹介するということは、紹介する社員全員が、リクルーター=採用担当者といえます。
リクルーターが不正確な情報を伝えてしまうと、採用に悪影響が出る場合があります。
例えば、「紹介だから採用されやすいよ」など、不用意な発言をしないよう、社員に周知徹底する必要があります。
4.成功させる秘訣
メリット・デメリットを知ったうえで、リファラル採用を成功させるための秘訣をご紹介します。
(1)働きやすい会社にする
なんといっても、働きやすい会社であることは大前提です。紹介したい会社でないとリファラル採用は成功しません。
社員に、人に紹介したいほど働きやすいと思われているかどうかを確かめる1つの方法として、「eNPS」という指標があります。
※「eNPS」とは
Employee Net Promoter Scoreの略で、職場に対する社員の信頼度や愛着度を測る指標です。
「この会社で働くことを友人・知人に勧めたいですか」といった「推奨度」をはかる質問に0~10の数値で答えるものです。
数値が高いほど、その社員の会社への信頼や愛着が強いといえます。
社員の指標調査には、ES(Employee Satisfaction)=従業員満足度もありますが、「満足度」よりも「推奨度」をはかるほうが、より正確に状態を把握できるといわれています。
(2)リファラル採用について情報を周知する
リファラル採用の場合は、ほかの採用方法よりも積極的な対応が求められます。
今、どんな人材を募集しているのか、どんな条件なのか、どんな仕事内容なのか。求人情報を社員が正確に認識できるよう、情報を周知させることもポイントです。
疑問がある場合の相談先を明確にしたり、定期的にリファラル採用の情報を伝えるなど、常に社員の意識にリファラル採用が残るような工夫が必要です。
(3)紹介するメリットを伝える
紹介者にとって、メリットがあれば、紹介するモチベーションアップになります。
紹介し、人員が増えることで、仕事が分散され、負担が減るというのは、紹介者にとって大きなメリットになります。
また、紹介したら、もしくは採用になれば報奨が得られる会社もあります。
(4)紹介の手順を簡素化する
求人情報を知り、紹介にメリットを感じていても、紹介するのに大きな手間がかかるなら、社員は紹介をためらうかもしれません。
紹介は通常業務プラスαですから、社員の大きな負担にならないような配慮が必要です。
手順の簡素化には、マニュアルやフォーマットが有効です。
マニュアルには、すぐに提示できるような会社情報を用意したり、伝え方の例を示したりします。
特に社員は「どこまで話して良いのか」という不安がありますから、伝えて問題ない内容など、まとめておくとよいでしょう。また、会社の問題点も伝えるよう提示しておくと、紹介される側も安心感が生まれ、成功につながります。
(5)採用ステップには関与させない
デメリットで上げた、人間関係の悪化をできるだけ避けるために、採用ステップには社員を関与させないことが大事です。
社員はあくまでも会社への紹介の橋渡しをするだけで、具体的な採用に関しては、採用担当者が行いましょう。
採用の状況についても紹介社員には教えないなど、配慮が必要です。
(6)採用を焦らない
紹介後、必要に応じて即採用ステップに進まないことも大切です。現在転職を考えていない人材の場合は人材のリスト作りだと考え、紹介を受け、会って話をするだけで、しばらくとどまります。
直接の採用実績にはつながらなくとも、その後の採用につながる場合もありますし、紹介しやすい雰囲気を作ることにもなり、結果的には良い人材と巡り合える可能性を高めることになります。
5.さらに成功させる工夫
上記の成功させる秘訣のほかに、さらに成功の確率を上げる工夫もあります。
(1)成功例を作る
リファラル採用の実施から早めに成功例を作ることも効果的です。
そのためには、初めから全社で実施するのではなく、eNPSの高い社員や、部署をターゲットに絞り、実施することも検討してください。
(2)あきらめない
社員に浸透していないため、なかなか軌道に乗らないことも想定されます。しばらくうまくいかないとしても諦めず、改善点を探ったり、さらに周知するなど、地道な努力が必要です。
(3)ほかの採用方法も活用する
リファラル採用は、うまくいけばとても効果的な採用方法ですが、急いで採用したい場合などは、これまでの採用方法で行うなど、併用することで安定した人材確保ができます。
当事務所では、人事や求人に関する幅広いサポートを行っております。
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